被曝についていろいろと書きたいと思います。
放射線というのは、目に見えないものなので、こういう時こそ正しい知識を持つべきです。
こういった事故が起こったとき、放射性同位元素のついたチリ、これが放射能の元になっています。
では、放射性同位元素ですが、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131が主なものです。
その中で、セシウム137の放射能と防護についてモンテカルロシミュレーションをしてみました。
縦軸がエネルギー(シーベルトに対応)で横軸が水とした場合の厚みです。
セシウム137ですが、2種類のβ線(赤、緑)と1種類のγ線(青)が出ます。
セシウム137ですが、2種類のβ線(赤、緑)と1種類のγ線(青)が出ます。β線というのは電子で、ガンマ線というのが電磁波です。グラフでは赤線しかないように見えます。緑、青は下のほうに少しだけ見えます。(クリックすると大きくなります。) このグラフから何が言えるかと言いますと、
水の厚み1~2ミリでほとんど止まるということです。
水というのは密度が1g/cm^3ですので、服を着れば抑えることができるということです。
こちらのグラフは縦軸を対数にしてより微細構造を見るものです。これで考えてみます。β線の赤線で考えてみますと1~2ミリ放射線が通過しますと10^-5から10^-11に変化します。これは強度が6ケタ落ちることになります。
しかし、γ線の青線はだいたい10^-8あたりなので3ケタ落ちることになります。
ニュースで「3月15日10時に福島第一原発の3号機周辺で毎時400ミリシーベルトという高い線量が計測された。」
とありますが、ちょっと服を着ているだけで1/1000の0.4ミリシーベルト=400マイクロシーベルトとなります。
つまり、
服を着ることで放射能から身を守ることができます。
次に半減期というものがあります。セシウム137は30.1年、ストロンチウム90は、28.9年、ヨウ素131は、8日です。
この半減期というものは、その日数経てば強度が半分になるというものです。例えば、ヨウ素131の強度が400ミリシーベルト/時間であっても、8日経てば200ミリ、16日経てば100ミリ、24日経てば50ミリ、32日経てば25ミリ、40日=12.5ミリ、48日=6.25・・・・となる量です。
ヨウ素は、β線とかγ線が出ますが、事故が終焉してから
2~3カ月もたてば影響力ゼロとなります。
問題はストロンチウムとセシウムです。これらは半減期が数十年なので影響が出ます。ストロンチウムはβ線しか出ませんので、ストロンチウムの埃がついても、服を着ることによりセシウムより効果的に影響をカットできます。
セシウムのγ線でも前述したようにそれなりにカットができます。
事故後、空気中に拡散していくので濃度も減っていくかと思われます。しかし、これらが、拡散して雨により土壌に浸透、草→家畜→人と経由することで明らかに人が放射性物質を蓄積していきます。
外部被ばくは服を着ることで避けることができますが、食べ物を食べることによる内部被ばくの問題が残ります。今現在の農産物ならば、しつこく洗うことで除染できますが、数年後の農作物は、放射性物質を細胞レベルで取り込んでいるので洗うことによる除染ができません。食料による内部被ばくは、今から数年後ずっと続きます。こちらのほうが個人的に心配です。
ではどのくらいのシーベルトを浴びれば、健康に被害が出るかですが、今日の探偵ファイルに大まかなことが載っていましたので抜粋します。(
放射線 動揺広がる/デスク)
『「確定的影響」として、数日程度の短い時間に、0.15 Sv の被曝で男性の一時的不妊、0.25 Sv でリンパ球の減少などの症状が現れ、3-5 Sv で半数の、7-10 Sv 被曝すると、ほとんどの人間が死んでしまいます。この影響は割とはっきりしています。
例えば、10mSv 被曝すると、1万人に一人が一生のうちいずれかの時点で発症すると言われています。被曝してすぐにガンになるわけではなく、何年も経ってから、場合によっては何十年も経ってから影響が現れるため、「晩発的影響」とも呼ばれます。』
ですから、今回の原子炉付近の毎時400ミリシーベルトの強度は17.5~25時間でやっと死ぬというレベルですし、服を着ているとその1000倍の時間がかかります。
で、放射線を浴びると「癌になる。」と言われていますが、「放射線によって癌になった。」か「遺伝およびたばこで癌になった。」を区別するのは難しいかと思います。
よって数年後、この地域の農作物、畜産物を食べて内部被ばくの影響を受けるかどうかですが、この事故の放射能がどれだけ拡散して薄まるか。ということと、たとえ体内に蓄積したとしても本当にこれが原因で癌になったか。ということになると思います。
ということで、ガイガーカウンターを農作物に近づけてピーピー言えばかなり問題ですが、あまり言わなかったら、かなり影響はないかもしれません。(とはいっても、こういった問題があると気を付けているほうがよいと思います。)
(現に人は日常生活に於いて空気中に漂っている放射性元素のラドンを平気で取りこんでいます。ラドンはα線を出します。)
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